2015-07-31

Neville Brody

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 学生の頃に好きだったデザイナーの名前が長い間思い出せなくて、その事を思い出してはいろいろなキーワードで検索してみるが一向に見つからず、そしてまた忘却の川へと流してしまうという事を繰り返していたのだが、先々月の友人の一言で積年の謎が解けた。ネヴィル・ブロディ。長い間忘れていたくせに、その名前を聞いた途端に確信した。ここ最近では一番嬉しかった出来事ではないだろうか。

 当時好きだったとは言え、余り詳しくは調べたりはせず、ただ「カッコイイな」とか「真似てみよう」とか考えていたに過ぎないので殆ど何も知らない。知っている事と言えば、当時の私の周りでは誰も持っていなかったマッキントッシュを使ってタイポグラフィックのデザインをしており(実はこの事実すら友人と話すまで忘れていたのだが)、雑誌「THE FACE」のアートディレクションをしている(これも雑誌「I-D」だと勘違いしていた)という事くらいだった。なので少し検索してみた。

 ブロディと大日本タイポ組合の対談の中で気になる箇所があった。以下にそれを抜き出す。

ネヴィル:今の、日本の若いデザイナーはどうでしょうか?

大日本タイポ:ざっと見渡した感触でしかないですけど、みんな同じような均質的なアプローチをしている印象がありますね。

ネヴィル:そうでうすか・・・。日本は昔すごくラディカルな印象でしたが、今はおとなしいと感じていました。

大日本タイポ:昔は、ネヴィルが言っていたように制約があって、どうしようかってところで僕らはやってきたけど、今はリファレンスが蔓延している時代というのも大きく関係しているのかもしれません。ネタ元が明らかでそれ をみんなが共有している感じは受けますね。イギリスではどんな感じなんですか?

ネヴィル:似ていると思います。イギリスでは“デザインしないデザイン”というのが流行っています。デザイナーが関わっているのを見せない、デザイナーの存在を見せないデザインです。若いデザイナーはプロフェッショナルなデザインを拒否しているのです。昔のように、グラフィックデザイナーのスーパースターを目指していないのです。ある種のアンチデザインです。

――続いて、この職に就いたきっかけは?

大日本タイポ:実験し続けてたらここまで来たって感じです。

ネヴィル:子供の時は、アートの道に進むと思っていたんです。でも、ある時、アートはビジネスで、デザインの方が誠実だと気づいたんです。それがきっかけですね。

 いずれも、非常に興味深い。