出土されるような太古の土器にはさして興味が湧かないので見送ろうと考えていた展覧会だったのだけれど、ちょうど出かける用事があったのと、この地方に於ける社会や文化の基礎となる部分を認識しておくのは必要な事のようにも思えたので行くことにした。
展覧会のページを観て頂くと判るとおり、素焼きの土器の展示が多かった。私は陶器や磁器を鑑賞するのは結構好きだが、それが土器となると途端に興味を無くしてしまう。ただし火焔土器は面白いと思う。でもそれくらいである。勉強のつもりでさらにつらつらとと観ていくと「宗像君の宝玉 勾玉」が展示されていた。これは大変に美しい宝物であった。こういうアースカラーと、そこから一つ飛び抜けた彩度の高い色との組み合わせはとても心地良い。そしてそこから更に進むと奈良で出土した金製指輪と福岡で出土した金製指輪と韓国で出土した金製指輪が並べて展示されていた。この展示物は展覧会の中でも特に見どころとされていて、展示会のページにはこうある。
沖ノ島の国宝を象徴する黄金に輝く指輪。シルクロードの流れを汲くむ黄金の指輪は、まさに日本とアジアのつながりを示す資料と言えるでしょう。新羅王の陵墓である皇南大塚南墳の出土品をはじめ、日本と韓国の指輪18点が一堂に会する史上初の試みです。
確かに、いずれの地域の指輪も同じテイストである。5世紀頃の朝鮮と日本は、工芸的にはほぼ同じ文化を享受していたように思える。その美的表現は日本風でも、朝鮮風でも、中国風でもない。強いて言えばアジア風。いや、そうとも言い切れない気もする。例えば風の谷のナウシカや精霊の守り人に出て来るような、ユーラシア大陸の何処かとしか言えないような無国籍なテイストが在る。これはとても楽しい学びであり、もとともは観る気がなかった展覧会だっただけに、何だか得をした気分であった。
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