去年放送された ETV の日曜美術館で紹介されていたのを観てかなり気になっていた画家(版画家)なのだけれど、アンコール放送の時は既に観ているのでスルーしたら、その際に今展覧会の紹介があったようだ。知人に教えられるまで気が付かなかったが、ちょうど街へ出る用事もあったので早速観てきた。
番組の中では版画を中心に取り上げていたので、その前に油彩や水彩で描いていたという印象を余り持っていなかったが、今展覧会ではその辺りも多く展示されていた。油彩は輪郭が曖昧で朦朧体のような描き方をしていたのが意外であった。水彩もまた輪郭が曖昧な描き方であったが、こちらは色彩が少しはっきりしていた。模索を繰り返しながら、技術によって表現を変えながら、そうして木版画に辿り着いていく経過が伺える。
- 中善寺 日光(明治27-32年 水彩・紙)
- 日暮里(明治34-36年 水彩・紙)
- 雪かき(明治35年以降 水彩・紙)
- 朝(明治後期 水彩・紙)
- 松(明治40年頃 水彩・紙)
- 雪景(大正期? 絹本墨画)
- 穂高山 渡邊版(大正10年 木版・紙)
- 帆船 日中 渡邊版(大正10年 木版・紙)
- エル キャピタン 米国シリーズ(大正14年 木版・紙)
- ルガノ町 欧州シリーズ(大正14年 木版・紙)
- 劒山の朝 日本アルプス十二題(大正15年 木版・紙)
- 光る海 瀬戸内海集(大正15年 木版・紙)
- 帆船 午後 瀬戸内海集(大正15年 木版・紙)
- 朝日 富士拾景(大正15年 木版・紙)
- 百花園の秋 東京拾二題(大正15年 木版・紙)
- 雲井櫻(大正15年 木版・紙)
- シンガポール 印度と東南アジア(昭和6年 木版・紙)
- ベナレスのガット 印度と東南アジア(昭和6年 木版・紙》
- 弘前城 櫻八題(昭和10年 木版・紙)
- 初秋(昭和22年 油彩・カンバス)
毎度のように気に入った作品をリストアップしていて気が付いた。今回の展示作品のおよそ七割は個人蔵であるようだ。これだけの数を借りてくるのは大変だっただろうなあ。