2016-02-29

アール・ヌーヴォーのガラス展

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 福岡市博物館にて開催中の、デュッセルドルフ美術館所蔵のアール・ヌーヴォー時代のガラスの展示を観てきた。アール・ヌーヴォー時代のガラス器の展示は、ずっと以前に東京でも場所と時期を変えて二回ほど観た事はあったが、今回は観た事のない物ばかりであった。その事含め、展示数も多くて見応えがあった。ただし、展示の仕方がどうにも下手であったように思う。後半のコーナーは天井の照明を落とし、什器の中でスポット照明を器に当てるという手法が取られていて、展示されているガラス器をいかに美しく見せるかを工夫されていたように思う。しかし前半のコーナーはいかにも博物館的な資料の展示という様子であり、器の良さが伝わりづらいものとなってしまっていた。その点が非常に残念である。

2016-01-20

日韓近代美術家のまなざし展

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 現在福岡アジア美術館にて開催されている。新羅から李王朝までの博物学的な美術品や、現代美術の展示は観た事があったが、近世・近代の朝鮮の美術に関しては全く知らない事を不思議に思っていたので、見てみた。日本人が朝鮮で描いたものや、朝鮮人が日本で描いたものを集めているせいなのか、この時代の日本や朝鮮は、ともに同じような近代西洋画の教育を受けているような印象を受けた。色彩やモチーフがよく似ているのだ。更にこの展示では、日本人も朝鮮人も朝鮮人を描いているので、並べると日本人が描いたものなのか、それとも朝鮮人が描いたものなのか全く見分けが付かない。その事自体が良い事なのかどうかは判らないが、意外な知見を得る事が出来たて良かった。

2015-11-24

藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美展

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 開催終了期日が迫っていたので、またしても慌てて駆けつける。いつものように気に入った作品を箇条書きする。

  • 大宝積経(中尊寺経)巻第七十 平安時代
  • 弥陀如来立像 鎌倉時代
  • 固山一鞏墨蹟 晩鐘詩 鎌倉時代
  • 渓西広沢澄蹟 偈語 南宋時代
  • 唐物肩衝茶入 銘 蘆庵 宋時代
  • 真中古刷毛目藤四郎大丸肩衝茶入 銘 興津 室町時代
  • 曜変天目茶碗 南宋時代
  • 白縁油滴天目鉢 金時代
  • 砧青磁茶碗 銘 満月 南宋時代
  • 黒楽茶碗 銘 太郎 覚々斎宗左 作 江戸時代
  • 黒楽茶碗 銘 次郎 覚々斎宗左 作 江戸時代
  • 金襴手宝相華文向付 明時代
  • 緑地唐草萩菊牡丹文舞衣 江戸時代

 藤田美術館のコレクション展示である。所蔵品のリストを見てみると、主たる物は来ていたようだ。会場には創設者の藤田傳三郎と二人の息子の来歴を細かに紹介されていた。いつもならそういった説明板を殆ど読まないのだが、今回は何故か読みふけってしまった。こういう個人の美術館を幾つか訪れたが、だいたい何処も茶道具は揃えてある。嗜みとしては外せないものだったのだろうな。

2015-11-11

美の国日本展

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 行くのは会期の終盤で良いだろうと考えていたが、螺鈿の琵琶の展示が11月3日までと聞いたので慌てて行ってきた。そもそもが混んでいたのに、後から修学旅行生が3・4団体ほど入館して来たので大混雑となって、充分に楽しむ事は出来なかった。しかし一通りは流して観たし、気になる物、気に入った物は戻って来て辛抱強く鑑賞した。いつものように箇条書きとする。

  • 火焔型土器 十日町市博物館蔵 縄文時代
  • 遮光器土偶 東京国立博物館蔵 縄文時代
  • 多聞天立像 法隆寺蔵 飛鳥時代
  • 螺鈿紫檀五絃琵琶 正倉院蔵 唐時代
  • 詩懐紙 香川県立ミュージアム蔵 平安時代
  • 三鈷柄剣 金剛寺蔵 平安・鎌倉時代
  • 地蔵菩薩立像 六波羅蜜寺蔵 平安時代
  • 玉冠 那覇市歴史博物館蔵 第二尚氏時代
  • 白地牡丹尾長鳥流水菖蒲文様型紅型木綿衣装 那覇市歴史博物館蔵 第二尚氏時代
  • アットゥシ 東京国立博物館蔵 アイヌ文化期

 開館10周年記念展という事で、さすがに良い物を集めて来たという印象を持った。国宝指定や重要文化財指定の物がたくさん展示されていたが、意外にも螺鈿の琵琶はどちらの指定も受けていないようだ。改修を受けると指定から外れるとか、何処かで聞いたような気がするけど、それだろうか。

2015-10-10

大関ヶ原展

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 関ヶ原の合戦に絞った展示であるなら、甲冑や武具をたくさん観る事が出来るのではないかと思い、行ってきた。果たして、甲冑や刀剣など良いものが展示されていたが数はさほど多くはなかった。その代わりというのでもないだろうが、合戦図や書状が数多く展示されていた。戦国時代の史実や時代考証に関心のある人には面白そうだが、私の場合は美術品としての関心が殆どなので、それらの展示品にはほぼ興味が持てなかった。私の目に留まったのは以下の物だった。

  • 青塗萌黄糸威二枚胴具足
  • 伊予礼縫延栗色革包仏丸胴具足
  • 朱漆塗合子形兜・黒糸威五枚胴具足
  • 大身槍名物一国長吉
  • 刀 無銘 号 朝鮮兼光

 それにしても、甲冑の造形の美しさや奇抜さは一体どういう訳で生まれ出たものなのだろうか。もちろん武具としての機能は前提として在るが、あの美しさや奇抜さは必要ないと思われる。それともあの造形は、戦場へと向かう勇気を奮い立たせるのに役立つとか、戦闘状態にある武将の興奮を鎮める効果があるとか、戦地において味方からも敵方からも武将の姿を誇り高くかつ貴いものであるように見せる必要があったとか、そのような目的があったのかも知れない。

2015-09-10

肉筆浮世絵の世界展

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 8月中には行くつもりだったのに、なかなかタイミングが掴めずに9月を越えてしまった。しかも実際に会場へ行ってみると、8月と9月では一部展示作品を入れ替えたようなので、その分を観る事が出来なくて悔しい限りである。悔しいので図録を買った。
 浮世絵の展示は掛け軸が多く、それが粒ぞろいのものばかりであった。しかしあまりに揃っているので展示自体の変化に乏しいという印象を持った。そこが何となく残念。変化があったと言えばいろんな絵師が描いた扇絵と、河鍋暁斎の新富座妖怪引幕だろうか。暁斎が描いた掛け軸も幾幅かあったが、やはりこの絵師が描く物は好きだなあと思った。
 途中、春画のコーナーだけは入口に学芸員の見張りが付き、「十八歳未満は入場不可」の立て札が立っており、暖簾を潜って中へ入るようになっていた。予想に反して女性客が多く、年齢層は20代から70代くらいまでと幅広く、目配せし合いながら楽しんでいる年輩の女性客も居れば、真剣な面持ちで見つめている若い女性客も居た。しかしやはり、そんな中で春画を鑑賞するのはいささか居心地の悪いものではあった。

2015-07-31

Neville Brody

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 学生の頃に好きだったデザイナーの名前が長い間思い出せなくて、その事を思い出してはいろいろなキーワードで検索してみるが一向に見つからず、そしてまた忘却の川へと流してしまうという事を繰り返していたのだが、先々月の友人の一言で積年の謎が解けた。ネヴィル・ブロディ。長い間忘れていたくせに、その名前を聞いた途端に確信した。ここ最近では一番嬉しかった出来事ではないだろうか。

 当時好きだったとは言え、余り詳しくは調べたりはせず、ただ「カッコイイな」とか「真似てみよう」とか考えていたに過ぎないので殆ど何も知らない。知っている事と言えば、当時の私の周りでは誰も持っていなかったマッキントッシュを使ってタイポグラフィックのデザインをしており(実はこの事実すら友人と話すまで忘れていたのだが)、雑誌「THE FACE」のアートディレクションをしている(これも雑誌「I-D」だと勘違いしていた)という事くらいだった。なので少し検索してみた。

 ブロディと大日本タイポ組合の対談の中で気になる箇所があった。以下にそれを抜き出す。

ネヴィル:今の、日本の若いデザイナーはどうでしょうか?

大日本タイポ:ざっと見渡した感触でしかないですけど、みんな同じような均質的なアプローチをしている印象がありますね。

ネヴィル:そうでうすか・・・。日本は昔すごくラディカルな印象でしたが、今はおとなしいと感じていました。

大日本タイポ:昔は、ネヴィルが言っていたように制約があって、どうしようかってところで僕らはやってきたけど、今はリファレンスが蔓延している時代というのも大きく関係しているのかもしれません。ネタ元が明らかでそれ をみんなが共有している感じは受けますね。イギリスではどんな感じなんですか?

ネヴィル:似ていると思います。イギリスでは“デザインしないデザイン”というのが流行っています。デザイナーが関わっているのを見せない、デザイナーの存在を見せないデザインです。若いデザイナーはプロフェッショナルなデザインを拒否しているのです。昔のように、グラフィックデザイナーのスーパースターを目指していないのです。ある種のアンチデザインです。

――続いて、この職に就いたきっかけは?

大日本タイポ:実験し続けてたらここまで来たって感じです。

ネヴィル:子供の時は、アートの道に進むと思っていたんです。でも、ある時、アートはビジネスで、デザインの方が誠実だと気づいたんです。それがきっかけですね。

 いずれも、非常に興味深い。